無形固定資産 (借方:資産)
【科目説明】長期にわたって事業に貢献する資産のうち、財物としての実体を持たないものをいいます。暖簾(のれん)代や法律で定められた権利、契約上の権利、施設の利用権などがこれらにあたります、無形固定資産の権利内容によって分類すると以下の5つに分けられます。
    1.企業信用等により超過収益力をもたらす権利(営業権等)
    2.法律上の権利(借地権、鉱業権など)
    3.法律によって知的生産物に与えられる独占的使用権(特許権、商標権、著作権など)
    4.特定の施設の利用権(電話加入権、施設利用権など)
    5.ソフトウェアー(コンピュータープログラムなど)
このうち借地権と電話加入権は資産価値が減少しないので、非減価償却資産ですが、その他は原価償却資産です。
営業権(百万円)を購入し、預金から振り込んだ。
「解説」資産(無形固定資産)が増加し、資産(預金)が減少した。
借方 貸方
 無形固定資産 1,000,000 1,000,000  預金
営業権(5百万円)を譲り受け、銀行振込した。時価で建物が7百万円、買掛金が3百万円あった。
「解説」資産(建物)と負債(買掛金)が増加し、資産(預金)が減少した。
借方 貸方
 建物 7,000,000 3,000,000  買掛金
無形固定資産 1,000,000 4,000,000 預金
電話加入権を売却(3万円)し、現金で受けとった。
「解説」資産(現金)と費用(固定資産売却損)が増加し、資産(無形固定資産)が減少した。
借方 貸方
 現金 30,000 70,000  無形固定資産
固定資産売却損 40,000
特許権(3百万円)で購入し、代金を銀行振込し、当期費用20万円を現金支払いした。
「解説」資産(特許権)が増加し、資産(預金と現金)が減少した。
借方 貸方
 無形固定資産 3,200,000 3,000,000  預金
200,000  現金
土地の賃貸借契約を結び、権利金(2百万円)と仲介手手数料(10万円)を預金から振込んだ
「解説」資産(借地権)が増加し、資産(預金)が減少した。
借方 貸方
 無形固定資産 2,100,000 2,100,000  預金
【無形固定資産の減価償却方法】
無形固定資産の減価償却は定額法のみが認められ、残存価額は、有形固定資産と違ってゼロとしなければなりません。したがって無形固定資産の償却額は、次のように求められます。
        当期償却額=取得価格×定額法による償却率

なお、貸借対照表の表記方法は帳簿価格のみを表示(直接控除法)することになっています。
【営業権の創設について】
営業権は、他社から有償で譲渡を受けたり、合併により取得した場合に限られ、自社で創設することは認められていません。
【特許権の取得価格について】
他社から購入した場合は、購入代価と付随費用を取得価格とし、出願料や特許料などの付随費用は必ず含めなければなりません。一方、自社発明の場合は、研究開発費を繰延資産計上している場合は、繰延資産長後価格を含めた付随費用を取得価格とします。
Last Updated : 2006.8.15