会計のきまり
会計処理には一定の決まりがあり、自分勝手に処理することを禁じています。このことは会計処理の結果で作成される各種の財務諸表は、株主や取引先、金融機関、税務署など誰が見ても同じ内容に理解されよう会計事実を表示し、企業の状況に係る判断を誤らせないようにする必要があるからです。(明瞭性の原則)

もとより、その企業の財務状態や経営成績に関する報告は真実でなければなりません。(真実性の原則) このような会計処理の決まりについて、その内容を連記し、解説をします。
複式簿記による会計の原則
企業会計は、全ての会計上の取引について、正規の簿記にしたがって、正確な会計帳簿を作成しなければならないと定められています。毎日の会計記録を帳簿に記入し、決算書もこの記録に基づいて作成しなさいと言う意味です。
資本取引と収益取引の区分の原則
資本取引と損益取引を明確に区分するとは、会計取引において損益計算書に計上されるか、貸借対照表に記載するかを決める原則です。とくに「資本剰余金」と「利益剰余金」とを混同してはならないとされています。
継続性の原則
企業会計は、その処理の原則及び手続きを毎期繰り返し、みだらにこれを変更してはならない。中でも会計方針と呼ばれる下記する会計処理にはいくつかの選択枝があり、企業にとって最適な方法を選ぶことができます。ただし年度ごとの比較を可能にするためや変更による利益操作を防ぐために、みだらに変更することはできません。変更するときは、それなりの正当な理由が必要としています。
  • 収益や費用の計上基準
  • 棚卸資産の評価方法
  • 固定資産の減価償却方法
  • 消費税の処理方法
  • 引当金の計上基準
  • 有価証券の評価方法
  • 外貨換算の方法
単一性の原則
提出相手先が異なることによる形式の異なる財務諸表を作成しなければならない場合でも、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の表示をゆがめてはならない。
発生主義の原則
すべての費用は、物品やサービスを得た(消費した)時や対価を得て引き渡したときに計上することが原則で、これらの対価を支払った時に計上する「現金主義」と区別されています。ただし新聞代や電気代など月々一定した支出等や事務消耗品等は例外的に現金主義が適応されています。
実現主義
収益の取引(売上計上)は、実現時点で会計処理することを基本とされています。「実現」とは、物品やサービスを引き渡し、対価の得る権利を収得したことをいみします。小売店のように現金商売であれば、現金の入金と売上を同時に計上されるので現金主義でも実現主義でも同じことになりますが、掛け販売が通常の取引形態になっている多くの企業では、大きな開きがあり、実現時点での売上計上を基本とされています。ただし、実現主義の具体的適用には、以下のような選択肢があり、継続適用することを条件に認められています。
  1. 引渡し基準(一般的な引渡し時点で売上計上)
  2. 研修基準(購入先の研修完了時点で売上計上)
  3. 船済基準(輸出貨物が船に搬入完了時点で売上計上)
会計帳簿の作成義務
新会社方では個別決算(連結決算でない)しか行わない会社において下記する計算書類等の作成が義務付けられています。計算書類(決算書類の意味)とは、会社法(又は商法)で定められている法定開示書類で、主に株主や債権者を対象として、会社の財政状態や経営成績を開示する書類のことを指します。
  1. 貸借対照表
  2. 損益計算書
  3. 株主資本等変動計算書 (旧商法の利益処分案
  4. 個別注記表  (旧商法の貸借対照表・損益計算書等の注記を統合。棚卸評価方法や減価償却の方法等を記載します。
  5. 事業報告    (旧商法の営業報告書。事業報告は計算書類には含まれなくなった。
  6. 上記に係る付属明細書
※このうち、1番目から4番目を会社法では計算書類といい、法人税確定申告書にも添付します。
※付属書類には「仕訳日記帳」や「総勘定元帳」及びその他の補助簿が含まれています。
帳簿類の保存義務
帳簿のほか、決算関連書類や取引を証明する証ひょう類は、下記の一定期間、本店所在地に保存しておかなければなりません。
        【帳簿】現金出納帳、売掛帳、買掛帳、未払帳、固定資産台帳など・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7年
        【決算書類】損益計算書、棚卸表など・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7年
        【証ひょう類】預金現金関係書類、領収書、預金通帳、小切手帳控、借用書など・・・・・・・・・・・・7年
        【その他証ひょう類】納品書、請求書、注文書、契約書など・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5年

※7年と5年を区分けして保管廃棄は、現実的でないので上記書類の保管は全て7年と記憶ください。
電子帳簿保管について
平成10年の法改正から上記【帳簿】及び【決算書類】の電子帳簿保管が下記する一定の条件のもとに認められました。今後は、帳票作成の手数や保管コスト低減から法定帳簿の電子保管が急速に普及するでしょう。
  1、訂正削除等の履歴確保
  2、記録事項の相互追跡可能性の確保
  3、システム開発関係書類等の備付
  4、見読可能装置の備付
  5、検索機能の確保
  6、期末3ヶ月前までに所定申請書の所轄税務署への提出

Last Updated : 2006.8.15